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上達の法則を読んでみた【書評】

上達の法則

 

 

概要

 

 上達のためには努力が必要であり、そのためにより効率の良い努力をするべきであると主張する著者。本書では効率の良い努力を実践するための方法論を、記憶の仕組みや中級者・上級者では何が違うのかという点から説明しています。後半には具体的に上達するための方法だけでなくスランプに陥った際に見直すべき事項、対策に加えて、上達を究めるための10のステップといった特訓法を紹介しています。

 

 

要点

 

 

第一章 能力主義と上達の法則

上達することの意味

仕事をしている限り、私たちは絶えず新しい知識や技術の習得に迫られる。新しい資格を取得したり、新製品につていて知識を取得したり、新しいコンピュータソフトを使いこなしたりする必要性に絶えず迫られる。

上達には法則がある。近道でなく、法則がある。その法則が把握できている人は努力の効率が良い。同じ努力をするのなら、せめて効率の悪くない努力をしたいものである。

 

第二章 上達と記憶のしくみ

上級者は文節認知の柔軟性が高い

認知心理学の研究でわかっていることのひとつに、上級者は、チャンキング課題でのチャンキングの柔軟性が高いということがある。チャンキング課題(文節課題ということもある)の説明を使用例えば、日本舞踊のビデオを被験者に見てもらう。そして、「意味のある単位の区切りと思うところで、ボタンを押して下さい」という教示で、ボタンを何度も押しながら日舞を見てもらう。このボタンを押して区切りを作ることがチャンキングである。

そのとき、「意味のある単位がなるべく大きくなるようにボタンを押してください」という教示をすると、上級者のほうが中級者よりも小さくチャンキングすることが分かっている。ところが、逆に「意味のある単位がなるべく大きくなるようにボタンを押してください」という教示のもとでは、上級者のほうが中級者よりも大きくチャンキングするのである。

 

第三章 上達した人はどこが違うのか

自我関与が高く、価値観を持っている

自我関与とは、その課題に本気で取り組む度合いのことである。一般に、上級者は自我関与が高い。記述のようにワーキングメモリから長期記憶の形成には、自我関与が大きくかかわっているらしいことが、研究でわかっている。自我関与が高いほうが、長期記憶の形成が促進されるのである。その意味では、上級にたどりついた人達は、自我関与を高くできた人達だったと考えることができる。

 

第四章 上達の方法論

鳥瞰的認知を高める

上級者は中級者が一度脱皮したものである。認知と記憶の構造に変化が起こり、記憶や嗜好の効率が高い状態になるプロセエスが、ここでいう脱皮である。自分自身にその脱皮を引き起こすための方法をここでは解説する。

 

第五章 スランプの構造と対策

スランプの種類

スランプとは、一般に、努力を投入しているのに、技能が上達しない、あるいは、努力をすればするほど下手になっていると思える状態を言う。また、やる気がなえて、一向に練習する気持ちになれない状態まで含めてスランプという場合もある。

スランプの基本的な原因をあげておこう。つぎの四つである。

(1)心理的・生理的飽和

(2)プラトー

(3)スキーマと技能のギャップ

(4)評価スキーマと技能のギャップ

 

感想

 

私自身、仕事で必要な資格の取得や勉強だけでなく、スポーツなどの趣味など様々な面で本書の上達法を実践しました。効率的に学習を行うことができ、資格に関して言うと、無事資格取得できるなど、確実に成果を挙げられています。

特に参考になったのは頻度に関する学習心理学での研究結果で、エビングハウスの忘却曲線(こちらは既に知っている方も多いと思いますが)や、週に一度の練習と2度の練習には雲泥の差があり、週に2度と3度、4度には大きな差はないなど、私には目からウロコの内容でした。

多くの上達書が世の中に出回り、そのうちほとんどは専門性の高いものとなっています。しかしながら、本書特定のジャンルに絞られておらず、あらゆる分野において活用が可能であるため、効率の良い上達法を身に着けたいという方には必読の一冊です。